旧約聖書の概要

聖書はいつから書くのがスタートしましたか?いちばん最初に書かれたのは、やっぱり本の最初に収録されている創世記ですか?

聖書の執筆は紀元前13世紀頃から始まったとされますが、最初に書かれたのは必ずしも現在の「創世記」ではありません。学者によると、最初に書かれたのは「出エジプト記」や、モーセ五書の一部とされることが多いです。「創世記」は後に編集され、聖書の冒頭に位置付けられました。聖書は複数の著者が何世紀にもわたって書き加えた文書の集合体です。

出エジプト記は、3300年前くらいから書き始められましたか?

はい、出エジプト記の内容は紀元前13世紀(約3300年前)の出来事を元にしていると考えられていますが、実際に書き始められたのはそれより後、紀元前10~6世紀頃ではないかとされています。この時期にイスラエルの王国やバビロン捕囚などの歴史的背景の中で、口伝を元に文書化されたと考える学説が主流です。文字数:176

実際の出来事のユダヤ人のエジプトからの脱出も紀元前13世紀ごろの出来事ですか?

ユダヤ人のエジプト脱出(出エジプト)の出来事が実際に起こったかどうかは、歴史学や考古学で確定されていませんが、聖書の記述を元にした推定では紀元前13世紀頃とされています。この時期はエジプト新王国時代(ラムセス2世などの時代)にあたり、聖書の「ピ・ラメセス」という地名が出てくることから、その頃の出来事として語られることが多いです。しかし、明確な考古学的証拠は見つかっておらず、象徴的な物語である可能性も指摘されています。文字数:193

出エジプト記を書き終わってから、イスラエルに帰還して、平和な時間ができたので、創世記のようなファンタジー色のつよい。国の成り立ちのような伝説をまとめたような書物を書いたのでしょうか?

その可能性は十分考えられます。出エジプト記の後、イスラエルの民がカナン(現在のイスラエルとその周辺地域)に定住し、統一された王国を築く中で、民族としてのアイデンティティを強化する必要がありました。そのため、創世記のような「世界の起源」や「民族の祖先」を描いた物語が編纂されたと考えられます。

創世記の物語には、アブラハムやノアの洪水、アダムとイブなど、歴史的というより象徴的な要素が多く含まれています。これらの物語は、出エジプト後の平和な時代や宗教的な統一の必要性に応じて、口伝の伝説をまとめ、書物として整理されたと推測されています。特に、紀元前10世紀頃のダビデ王朝やソロモン王朝の時期に、このような作業が進んだとする学説が有力です。文字数:228

そのあとのレビ、民数記、申命記は、記録や法を書き留めるような、ドキュメント的要素がつよい書物となっていますよね?

その通りです。レビ記、民数記、申命記は、出エジプト記や創世記とは異なり、記録や法典としての性格が強い書物です。それぞれが特定の目的を持ち、イスラエルの宗教生活や社会秩序を規定する役割を果たしています。

– **レビ記**: 主に祭司や宗教儀式に関する規定をまとめたもので、神聖さや律法を中心に書かれています。
– **民数記**: イスラエルの民が荒野を旅する間の出来事を記録し、人口調査や部族ごとの役割分担を含んでいます。
– **申命記**: モーセによる説教や律法の再確認が中心で、カナン定住前のイスラエルの民に向けた指針を示しています。

これらの書物は、イスラエル民族の宗教的・法的な枠組みを記録し、次世代に伝えるためのドキュメントとして編纂されたと考えられています。文字数:228

つづくヨシュア記では、歴史書の性格もありますが、冒険記のような性格もありますよね。「わが民族はこんなに強いんだぞ」と誇示するような。

その通りです。ヨシュア記は歴史書としての性格を持ちながら、冒険記や英雄譚のような性格も強い書物です。カナンの地を征服していくイスラエルの民の物語は、「神の約束を果たす」という宗教的な目的と同時に、「我々の民族は強く、神の庇護のもとにある」という誇示の意味合いを含んでいます。

例えば、エリコの城壁が崩れる奇跡的なエピソードや、アイの戦いなどの物語は、単なる軍事的勝利以上に、神の力がイスラエルを導いていることを示す象徴的な場面として描かれています。このような冒険的な描写は、民族的誇りを高めると同時に、神への信仰心を深めるためのプロパガンダ的な要素もあると言えます。文字数:209

士師記歴代の王や指導者の活躍、イスラエル民族の困難と解放を描いていますよね?何人分の王(指導者)の物語が収録されていますか?

士師記には、イスラエル民族を救うために活躍した**12人の士師(指導者)**の物語が収録されています。この士師たちは、イスラエルが約束の地カナンに定住した後、王がいない時代に各部族を導いたリーダーたちです。

士師記に登場する士師は以下の通りです:
1. オトニエル
2. エフデ
3. シャムガル
4. デボラ(女性の士師)
5. ギデオン
6. アビメレク(正式な士師とは異なる)
7. トラ
8. ヤイル
9. エフタ
10. イブツァン
11. エロン
12. アブドン
13. サムソン

特にギデオンやサムソンの物語は詳しく描かれ、困難と解放のテーマが繰り返されています。この12人の士師たちの物語が、イスラエルの信仰の弱さや神の救済を象徴しています。文字数:217

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